米 Microsoft が、金融業界の各社と協力して、Zeus (Zbot とも呼ばれます) ボットネットの大部分を利用不能にすることに成功しました。ここ数日、ニュースなどでも取り上げられたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。
Zeus は、トロイの木馬型マルウェアで、感染すると個人情報や識別情報を盗用されたり、PC を乗っ取られる恐れがあるものです。特にオンライン バンキングや E コマースサイトのアカウント情報の盗用を目的に 2007 年に誕生しました。
悪意のあるソフトウェア削除ツールも 2010 年に Zeus に対応しましたが、Zeus を簡単に作成できるツールキットがアンダーグラウンドで出回っていたことなどから、Zeus の被害はなかなか減少せず、感染が疑われるコンピューター は全世界で 1300 万台、損害総額は 5 億ドルにも上るということです。
今回、Microsoft 内で実際に調査、分析、捜査協力を行ったのは、Digital Crime Unit (DCU) という部署で、法律の専門家、調査員、技術解析者等から成るスペシャリスト集団です。DCU の存在は、Microsoft がサイバー犯罪撲滅に対して真剣に臨んでいることの証とも言えるかと思います。
DCU は、業界団体、政府、研究機関、法執行機関、NGO 等と協業し、あらゆるサイバー犯罪を撲滅するための活動を行っていますが、特にボットネット関連の攻撃については実績があり、過去、Waledac や Rustock といった大規模なボットネットのテイクダウンと容疑者逮捕に成功しています。
今回の Zeus ボットネットに関しては、DCU が金融業界団体、セキュリティ ベンダー、連邦保安官と協力してボットネットの管理に利用されていた C & C サーバーを押収し、多数のボットネットを停止させました。
組織の複雑さから完全なテイクダウンには至っていないものの、業界を越えた連携が成し遂げた素晴らしい成果だと言えるでしょう。
関連記事:
Microsoft のオフィシャル ブログ :
Microsoft and Financial Services Industry Leaders Target Cybercriminal Operations from
Zeus Botnets (英語)
Microsoft Digital Crimes Unit のページ :